猫の乳がんと不妊手術|乳腺腫瘍の発生リスクとの関係

③ 猫の乳がんと不妊手術

不妊手術をする時期も関係する?

猫の乳腺腫瘍の発生には、性ホルモンが関係していると考えられています。

そのため、乳腺腫瘍の発生リスクを考えるうえで、不妊手術も関係してきます。

特に注目されているのが、不妊手術を受ける時期です。

若いうちに不妊手術を受けた猫では

2005年に発表された研究では、未不妊の猫と比較して、

6か月齢より前に不妊手術を受けた猫
→ 乳腺がんの発生リスクが約91%低下

1歳より前に不妊手術を受けた猫
→ 約86%低下

という結果が報告されています。

かなり大きな数字ですよね。

ただ、この数字には注意が必要です。

「91%予防できる」ということではありません

「6か月までに不妊手術をすれば、乳がんを91%予防できる」という意味ではありません。

これは2005年に発表された症例対照研究で、未不妊の猫と比較した場合のリスク低下を示した数字です。

その後も、不妊手術を受けた猫では乳腺腫瘍の発生リスクが低いことを示す研究が報告されています。

一方で、2025年に発表されたレビューでは、これまでの研究には後ろ向き研究が多く、バイアスの可能性もあることから、現時点でのエビデンスの強さは「弱い」と評価されています。

ですから、

「若いうちに不妊手術を受けることで、乳腺腫瘍の発生リスクが低くなる可能性がある」

と考えていただくのがよいと思います。

不妊手術はいつ受ければいい?

では、乳がんを予防するために、できるだけ早く不妊手術をすればよいのでしょうか。

不妊手術の時期は、乳腺腫瘍のことだけで決めるものではありません。

猫ちゃんの年齢や成長、健康状態なども確認しながら、その子に合った時期を獣医師と相談して決めていきます。

また、すでに1歳を過ぎているからといって、「もう遅い」と考える必要もありません。

ここでご紹介しているのは、あくまで不妊手術の時期と乳腺がんの発生リスクについての研究結果です。

不妊手術をしていても乳腺チェックを

若いうちに不妊手術を受けていても、乳腺腫瘍にならないわけではありません。

だからこそ、普段から乳腺を触っておくことも大切です。

乳腺腫瘍の発生リスクを下げるために、若いうちの不妊手術について考える。

そして、

もし乳腺腫瘍ができたときに小さいうちに気づけるよう、月に1回乳腺を触ってみる。

どちらも、猫の乳がんについて知っておいていただきたいことです。

→【お家での触り方はこちら】月1回の「なでなで乳腺チェック」

参考資料・文献

古澤 悠.猫の乳腺腫瘍 概要.VETERINARY ONCOLOGY. 2022;9(1):42–43.
Overley B, Shofer FS, Goldschmidt MH, et al. Association between Ovarihysterectomy and Feline Mammary Carcinoma. J Vet Intern Med. 2005;19:560–563.
Gogua E. Should we recommend spaying cats for mammary tumour prevention, and if so, at what age? Veterinary Evidence. 2025;10(3).