夏の草むらは危険がいっぱい  〜ヘビに咬まれたら〜

ゴールデンウィークが明けてだいぶ暑くなってきました。これからの季節、熱中症はもちろんですが、暑い季節ならではの病気や怪我が増えてきます。

特に夜間診療で多くなるのがマムシに噛まれたわんちゃんの救急外来です。

30年ほど前は私の実家(豊橋市内の住宅街)の庭でもアオダイショウ、シマヘビがとぐろを巻いたり、縁側の下に鎮座していたりはよく見る光景で、稀にマムシも近所の道で轢かれているのを見かけたものです。
近年ではさすがに実家周辺では見なくなりましたが、ちょっと田畑や林があったり、川が流れていたりすると豊橋市内でもまだまだいます。

過去3年の当院へのマムシ咬傷で来院された子を調べてみると、19件の来院がありました。来院された時間は全てが夕方以降で散歩中のわんちゃんや外から帰ってきた猫ちゃんがやられています。
季節は次のグラフのように5~9月が多くなっています。

【当院2022年から2024年マムシ咬傷】

マムシに咬まれると特徴的な症状を示すので、蛇そのものを見ていなくてもだいたいが診断できます。

よくある状況が次のような感じです。
『雨上がりの夜に散歩に出かけて犬がクンクンしながら草むらに顔を突っ込んだ後、キャンと鳴いて突然鼻のあたりを前足で掻くようなしぐさをした。家に帰ってくるなり鼻から唇が腫れてきて、傷になっているところから血が出ていて止まらない…』

【来院時にはお顔が腫れていました】

猫の場合は前足でちょいちょいとちょっかいを出してやられるので前足が腫れることがほとんどですが、噛みつこうとして顔をやられた子が来ることもあります。

【猫ちゃんの左の前脚が腫れています】

マムシに咬まれた場合、人は抗毒素血清があるのでそれを投与しますが、犬や猫にはアナフィラキシーなどの副反応の方が懸念されるため使用されることは稀です。

治療の主体は抗生物質、抗炎症剤、アルカロイド製剤などの投与といった対症療法がメインになります。

幸い犬や猫は蛇毒に対して比較的耐性があるので、重篤な事態に陥ることは稀で、当院に来院された19頭も数日以内に回復しています。

マムシに咬まれないようにするには、夕方から夜、特に雨上がりのムシムシした日に散歩に出かけた際には、草むらなどに入らないように注意をしてくださいね。

また夜はムカデも活発に動きますので咬まれないように注意してください。同じように痛い目にあいます…

 

ハート動物クリニック

犬猫医療センター

院長 原田