猫ちゃんの健康診断〜定期メディカルチェックのススメ

犬猫医療センター院長の原田です。

わんちゃんと猫ちゃんの健康診断に関するお知らせは、その子のお誕生日月を目安にお送りしておりましたが、昨年秋より従来のスタイルの季節性健康診断に戻すこととなり、動物種により以下のような時期で行うこととなりました。

 

・わんちゃん:10~12月中旬

・猫ちゃん :1月中旬~3月上旬

 

小松病院では引き続き季節にとらわれない通年健康診断を実施しておりますので、ご希望の方はご利用ください。

 

さて、リニューアルした猫の健康診断ですが、コースを2つ用意しております。

 

基本となるコースは以前のスタンダード健診と同等の内容である『猫ちゃん健診』です。

診察室で普段の様子や気になっていることをお聞きし、飼い主様と一緒に身体検査を行います。なれない場所ですので固まって動かなくなってしまう子や逆に興奮して怒ってしまう子もいますので、その子に合わせてできるだけストレスがないように行います。

その後診察室もしくは処置室にて採血を行います。採血も猫ちゃんのストレスを最小限にするために細い針で行います。採血量は1~2㏄ほどですので人の健康診断で採血される量よりもずっと少なくて済みます。

レントゲン検査は胸部と腹部をそれぞれ横に寝た状態とバンザイした状態との2方向で撮影します。興奮してしまう子はできる限りでの撮影となります。

便とおしっこは持参された場合のみ無料で検査を実施します。特に冬はおしっこの病気が多いので、おしっこが吸収されずに採れるシステムトイレを使用することをお勧めします。

 

さらに内容の濃い検査として『猫ちゃん健診ぷらす』というものを新設しました。

こちらは7歳以上の猫ちゃんや若くても心筋症のリスクのある猫ちゃんにお勧めの検査となっています。内容は、上記猫ちゃん健診にプラスして血液検査の項目に3つの特殊検査が追加されます。

1つ目は「糖尿病スクリーニング検査」です。血液中のフルクトサミンの濃度を測定し、血糖値が一時的ではなく常に高いことがないかを調べます。この数値が高いと糖尿病が疑われます。

2つ目は「甲状腺機能検査」です。血液中の甲状腺ホルモンの濃度を測定し、高齢の猫ちゃんに多い甲状腺機能亢進症が隠れていないか調べます。この病気はホルモンの影響で今までよりも元気に活発になったり、食欲が旺盛になったりする一方で太らなかったり痩せたりするので、病気が進行しないと調子が良いと感じる病気ですので飼い主様が気づいていないことが多いです。

3つ目は「心臓病バイオマーカー検査」です。血液中のNT-pro BNPというものを測定して、心臓に異常な負荷がかかっていないかを調べます。猫ちゃんは肥大型心筋症や拘束型心筋症といった心臓の筋肉に異常をきたす病気を潜在的に持っていることがあり、心臓で発生した血栓が大動脈に流れて詰まり、腹部大動脈血栓塞栓症を突然起こしてしまいます。また循環不全から肺に水がたまったり腎機能が低下したりして死亡するリスクが高い病気です。特に純血種(メインクーンなど)は遺伝的にリスクが高いことが知られています。

 

人の病気もですが、病気の症状が出てから治療するのではなく、症状が出るより前に早期発見し治療したほうが、コントロールできたり、治ったりする確率が高くなります。動物、特に猫ちゃんは症状を隠すのが上手な種類ですので、飼い主様が症状に気づくのが遅れる傾向にありますし、また猫の1年は人の4-5年に相当します。

この機会に猫ちゃんの定期的な健康診断をお受けになってみてはいかがでしょうか。

 

猫ちゃんの健康診断のお知らせ