後ろ足が立たない!〜知っておきたいわんちゃんの救急疾患〜

いつも大切な家族であるワンちゃんが元気に走り回っている姿を見ると、私たちの心も温かな気持ちになりますよね。

しかし、突然後ろ足が立たなくなったり、歩くことが難しくなったりする状況が発生することもあります。これはワンちゃんにとって非常に苦しい状態であり、飼い主としては迅速な対応が求められます。今回は、後ろ足が立たない状態と関連する救急疾患についてご紹介いたします。

 

  1. 脊椎損傷: 脊椎の損傷は、後ろ足が立たなくなる主な原因の一つです。ワンちゃんが高い場所から飛び降りたり、事故に遭ったりした場合に起こることがあります。脊椎損傷は神経の損傷を引き起こし、その結果、後ろ足の動きや感覚が制限されることがあります。緊急の治療が必要であり、動物病院での診断と適切な治療が必要です。
  2. 椎間板ヘルニア: 椎間板ヘルニアは、椎間板が損傷し、神経を圧迫する状態を指します。この疾患は後ろ足の麻痺を引き起こす可能性があります。ワンちゃんが急に激しい痛みを示し、後ろ足に力が入らなくなることがあります。椎間板ヘルニアは手術が必要な場合もありますが、症状の程度によっては内科治療(手術を行わない治療)も選択肢となります。
  3. 脳疾患: 脳疾患は、脳の腫瘍や炎症、出血、血栓などで起こります。この状態では、ワンちゃんの後ろ足が麻痺することがあります。他の症状としては、けいれん、めまい、失明、異常な行動、頭を傾けるなどが現れることもあります。緊急の医療ケアが必要であり、早期の診断と治療が重要です。
  4. 骨折: 後ろ足が立たなくなる原因としては、骨折も考えられます。ワンちゃんが事故に遭ったり、落下したりした場合、骨折が起こることがあります。骨折にはさまざまな種類があり、治療法もそれぞれ異なります。骨折が疑われる場合は、動物病院でのレントゲン撮影などの診断が必要です。

 

これらの疾患はワンちゃんの生活に大きな影響を与える可能性があります。そのため、後ろ足が立たないという症状が現れた場合は、迅速に動物病院を受診することが重要です。診断や治療には専門的な知識と経験が必要であり、獣医師の指導のもとで行われるべきです。

 

最後に、後ろ足が立たないという状態が発生しないよう予防策も考えましょう。ワンちゃんには適切な運動や食事、定期的な健康チェックが必要です。また、怪我や事故のリスクを最小限に抑えるために、安全な環境を整えることも重要です。

 

ワンちゃんが元気に歩き回る姿を見ることは、飼い主としての喜びです。しかし、後ろ足が立たなくなるという状況はワンちゃんにとって苦痛です。症状が現れた場合は、迅速な対応と専門医の診断が不可欠です。大切な家族であるワンちゃんの健康を守るためにも、適切なケアを行いましょう。

文責:獣医師 尾崎佐記

 

*椎間板ヘルニアの検査と治療について

 

*手術後のリハビリテーショはこちら

https://heart-ac.com/useful-information/後ろ足が立たない!〜椎間板ヘルニア手術後のリ/